
国際機関にとって、2025年は激変の年だった。トランプ政権は世界保健機関 (WHO)と人権理事会からの脱退の他、米国国際開発庁(USAID)を解体し、人道支援やその主要機関を深刻な財政危機に陥れた。
これに対応して、アントニオ・グテーレス国連事務総長は予算削減と効率化を目指した広範な改革「UN80」を打ち出し、類似のマンデートを持つ機関の統合や、ジュネーブやニューヨークからナイロビやローマへの人員移転などを提案。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国際移住機関(IOM)、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国際労働機関(ILO)、ユニセフ、国連合同エイズ計画(UNAIDS)はジュネーブに拠点があり、現在進行中の数百件の解雇・移転案の対象となっている。
改革プロセスは進行中だが、今年はアントニオ・グテーレス事務総長の任期最終年。秋ごろに次期事務総長の選出が予定されている。地理的な持ち回りから、次期事務総長はラテンアメリカ出身者となる。
国連総会と安保理は女性候補推薦を呼び掛けており、80年の歴史上初めての女性総長誕生が期待されている。中南米からは現在、ラファエル・グロッシ国際原子力機関(IAEA)事務局長や、レベッカ・グリンスパン国連貿易開発会議(UNCTAD)事務総長など、複数の候補者の名が挙がっている。
2016年選挙の際も女性選出を望む声は大きく、女性7人を含む13人が出馬。慣例では東欧からの選出とされていたが、最終的には西欧ポルトガル出身で男性のグテレス氏が選ばれた。今回も米国やロシアは「能力優先」の立場を示しており、性別や地域が必ずしも優先されるとは限らない。
事務総長は各国のエゴに向き合う「世界で最も難しい仕事」と呼ばれる。それに加え、次期総長は国連が過去最悪と言われる財政難に直面し、「機能不全」も指摘される中での組織改革も担当。次期事務総長の人選は、国連の将来像を映す試金石となりそうだ。