
世界有数の国際都市であるジュネーブには、約750の国際機関やNGOが集まり、約3万6,000人が勤務。しかし2025年以降、この環境は大きく変化している。
2025年初頭の米国による国連への資金拠出停止を契機に、国連システム全体で世界で2万人を超える人員削減が進んだ。さらに、加盟国からの分担金未払いによる深刻な財政危機から、「UN80改革」が開始され、約6,900人の削減や組織統合が検討されている。
ジュネーブでも過去1年間で国連機関や国際機関、関連NGOでは約3,500人分の職が失われ、市内の国際機関職員数は約13〜15%減少。2025年1月以降、国連職員、NGO職員、コンサルタントなど1,300人以上が職を失った。
国際機関を退職した人々にとって問題は失業だけではない。多くの外国籍職員は勤務先を失うと滞在許可も失い、通常は約2か月の猶予期間内に新たな就職先を見つけるか、別の在留資格取得が必要。また、国連職員はスイスで所得税や失業保険料を納めていないため、一般的な失業給付を受けることもできない。
長年国際機関のみでキャリアを築いてきた多くの職員に、民間企業への転職は容易ではない。多くの職員は「自分の専門性をどのように民間や他分野で生かせばよいのか」「今後どのようなキャリアを築けばよいのか」という不安を抱えている。
だが、国際機関で培った経験は決して無駄ではない。政策立案、プロジェクト管理、多文化環境での調整能力、外交・交渉力、分析力などは、民間企業、コンサルティング、財団、大学、政府機関などでも高く評価される能力。それらの経験を相手が理解できる言葉で伝え、新たな市場に合わせてキャリアを再構築することが重要となる。
このような変化の時代に、キャリアカウンセリングや転職支援を活用し、自身の強みを客観的に整理しながら次の一歩を考えることが、円滑なキャリア転換への道だろう。